かつての私は、何かを捨てることに強い罪悪感を感じる、いわゆる溜め込み癖のある人間でした。その結果、一人暮らしの部屋はいつの間にか足場を確保するのも困難な汚部屋へと変貌していました。断捨離という言葉は知っていても、自分には縁のない高度な精神修行のように感じていたのです。しかし、ある日、足元の荷物に躓いて転倒し、怪我をしたことをきっかけに、このままでは命の危険すらあると痛感しました。私の断捨離は、まず自分の心の癖を理解することから始まりました。私はなぜ、これほどまでに物を溜め込んでしまうのか。分析してみると、それは過去への執着と将来への過剰な不安からきていることが分かりました。昔使っていた教科書や、もう着られない服を捨てられないのは、その当時の自分を失うのが怖かったからです。また、無料でもらえる試供品や割り箸を溜め込むのは、いつか困る時が来るという根拠のない恐怖からでした。こうした心理的な背景を理解した上で、私は今を生きる自分にとって本当に必要なものは何かを問い続けました。断捨離を進めるうちに、驚くべき変化が起きました。物理的な空間が広がるにつれて、私の頭の中の霧が晴れていくような感覚を覚えたのです。汚部屋時代は常に頭が重く、何をするにも億劫でしたが、部屋が整うにつれて行動力が湧いてきました。掃除がしやすくなったことで、アレルギー症状も改善し、健康状態も良くなりました。何より、自分の部屋を大好きな空間だと思えるようになったことが最大の収穫です。断捨離は、自分自身にかけた呪いを解く作業だったのかもしれません。不要な物を手放すたびに、私は自由になっていきました。現在の私は、新しい物を一つ買うときは、古い物を二つ手放すというルールを守っています。溜め込み癖を克服した先には、想像以上に軽やかで、光に満ちた毎日が待っていました。汚部屋に悩んでいる皆さん、物はあなたを幸せにしてくれる道具であって、あなたを縛り付ける鎖ではありません。勇気を持ってその鎖を断ち切ってみてください。