ゴミ屋敷の現場を歩くとき、最も私の胸を締め付けるのは、居住者の寝床の状態です。食べ残しの容器や空き缶、雑誌、得体の知れない不用品に包囲され、かろうじて人間一人が横たわれるだけのスペースに残された、真っ黒に汚れた布団。それは単なる不潔さの証明ではなく、その主がいかに自分自身を見捨ててしまったかという「心の悲鳴」が形になったものです。セルフネグレクト、すなわち自己放任が進行すると、人間は自分の身体を清潔に保つことや、適切な環境で休むことへの関心を失います。最もプライベートで、最も無防備になるはずの寝床がゴミに侵食されている事実は、その人の内面がどれほど深く傷ついているかを物語っています。ゴミ屋敷の住人にとって、ゴミの山はある種の「心の壁」として機能しており、外界からの刺激から自分を守るためのシェルターのような役割を果たしていることがあります。しかし、そのシェルターは同時に、自分自身の健康と尊厳を蝕む檻でもあります。不衛生な寝具を使い続けることで、皮膚は荒れ、呼吸は浅くなり、表情からは生気が失われていきます。断捨離を促す際、私たちは単に「汚いから捨てなさい」と言うことはありません。その言葉は、彼らの存在そのものを否定することになりかねないからです。代わりに「あなたは、もっと柔らかくて清潔な場所で眠る価値がある人ですよ」と伝えます。ゴミ屋敷を解消することは、物理的な物の移動ではなく、こうした歪んだ自己認識を修正していく作業です。新しい布団を用意し、枕元のゴミを一掃するだけで、多くの居住者が涙を流します。それは、久しぶりに自分を大切に扱われたという実感に震えるからです。寝床を整えることは、自分自身の魂を再び大切に育み直す儀式です。ゴミ屋敷の闇を照らす光は、常に、その人が横たわる小さなスペースの浄化から始まります。布団を新しくすることは、人生を新しくすること。その決意を支えることが、私たちの使命だと考えています。